がんは現在日本人の死因としては一番多い病気ですが、低線量放射線のがん抑制効果として、以下の4つが挙げられます。
①抗酸化作用
②DNA修復
③アポトーシス
④免疫機能の向上以上が実験によって確認されています。
①抗酸化作用
がん発生の原因として、
90%が活性酸素、10%がウィルスによるものと考えられています。
活性酸素が原因の場合には、活性酸素がDNAを傷つけることから始まります。
DNAは古い細胞に寿命がきたとき、同じ細胞を複製しようとします。この細胞の設計図はDNAが担っていますが、DNAが活性酸素に傷つけられると、細胞は設計図通りに複製されずに、突然変異を起こす場合があります。
この突然変異を起こした細胞を、さらに活性酸素が攻撃することにより、本来は陰に隠れている「がん発生遺伝子」が活性化することによって周囲の細胞もがん化して、最終的には押さえの利かない暴走的な増殖を過程をたどります。
このような過程を見る限り、ホルミシス効果により活性酸素の発生が抑制されれば、がん防止につながることは容易に理解できると思います。
②DNA修復
がん抑制遺伝子として、代表的なものにp53という遺伝子があります。低線量放射線を照射することにより、このp53がん抑制遺伝子の活性化が報告されています。
①のようにがん発生の原因としてDNAの損傷が考えられますが、このp53遺伝子はDNAの修復に大きくかかわっています。
DNAが損傷すると、ATPキナーゼというたんぱく質が活性化されますが、このATPキナーゼが活性化することによってp53遺伝子が活性化され、がん抑制のメカニズムがスタートするのです。
このp53遺伝子が活性化されて最初にする仕事は、損傷したDNAの修復です。
細胞が分裂して、古くなった細胞が新しい細胞へと複製されるとき、細胞周期という大まかに分けて4つの段階を経て、古い細胞が新しい細胞へと複製されます。
がん細胞の出現により活性化されたp53は、まずこの細胞周期を遅らせる働きをします。細胞周期が遅延して時間稼ぎをしている間に、DNAの修復を図ります。
③アポトーシス
細胞が損傷した遺伝子を修復出来なかったとき、
細胞を自爆死させてがんが発生しないようにする仕組みを、「アポトーシス」といいます。
アポトーシスはあらかじめ生体を守るために、異常となった細胞を除去するためのもので、プログラムされた細胞死ともいいます。
p53遺伝子は細胞のアポトーシスをコントロールする中心的働きをします。低線量放射線によって活性化したp53によりアポトーシスが積極的に行われることにより、がん細胞の増殖を抑制する効果が期待されます。
④免疫機能の向上
損傷したDNAを修復出来ない場合には、細胞はアポトーシスによって生体から除去されますが、アポトーシスに失敗した場合にはどうなるのか?
もはやそこまで異常となった細胞に対して、私たちの体は、自分の体の細胞と認識せずに、他者または侵入者として、免疫系を使って異常細胞の除去、排除を指令します。
免疫機能には2種類の方法があり、
一つは侵入者と戦う「細胞」を主体とした免疫で、侵入者への攻撃をします。
もう一つは、「抗体」を主体とした免疫で、体内の侵入者に対する抗体を作らせて、補足し無力化します。
この2種類の免疫機能のバランスが重要で、このバランスが崩れると、実は花粉症などのアレルギーが発症します。
低線量の放射線を浴びることで、このバランスも正常に保つのです。
PR